『深淵牢獄危機一髪!
 〜あの日の愛は本物だったのか!?謎の生命体に本庁捜査班が迫る!〜』








小説を読む前に注意事項

※1 この作品は完全にDQシリーズのパロディです
※2 ほぼ全キャラの性格が壊れています
※3 この作品の登場人物は、実際のプレイでは出来ない事をやります
※4 正直、目障りです。
※5 気が違っても彼等の真似をしないでください





新緑芽吹く、始まりの季節――。
ここサントハイムにも、ダーマと同じように春が訪れていた。
街は活気に満ち溢れ、城の前の庭園には花が咲き誇り、アリーナ姫のテラスには小鳥が詩を口ずさみ、地下牢にはマンドラゴラが――って待てや、おい。

クリフト
「ふぅ…へ〜わですねぇ」

地下牢獄。どこの国にも必ずといっていいほどあるもの。
けれど、ここサントハイムには人知れず存在する牢獄があった。
――正式名称はなし。関係者の通称は『深淵牢獄』
死刑に処すことの叶わないS級の犯罪者のみが入れられる、暗闇の楽園。
牢獄一つにつき一つの巨大ダンジョンが形成されている。
そのダンジョンの大きさが、文献に記された設計図が正しければ、DQシリーズの全ダンジョンどころか、それにFFシリーズのダンジョンを加えてもまだ足りないほどの規模であるという。
その深淵牢獄の檻の一つに、クリフトは逆さ吊りになっていた。

クリフト
「おや、ディスプレイの前のみなさ…じゃなくてみんな!こ〜んに〜ちわ〜!
 元気にしてたかな?正義の神官クリフトお兄さんダヨ☆
 …ん?なんだい、みんな。その顔は。
 もしかして、僕がどうしてこんな格好をしているのか知りたいのかな?
 それはね〜、昔々の出来事だった……」

キーファ
「出たな、エセ神官お得意のエセ昔話」

クリフト
「おやキーファさん、ご機嫌麗しゅう」

キーファ
「麗しくねぇよこのクソ神官」

額には青筋一つ。背後には黒き炎のオーラ。
どうやらかなりご立腹の様子。

クリフト
「えぇと…いいお天気ですね」

キーファ
「こんな地下にいて天気が分かるか」

クリフト
「……春もすっかり深まって」

キーファ
「あまりにも牢獄生活が長すぎて季節すら分からない」

クリフト
「ああ、もう!わがままばっかり言って!!
 じゃあどうして私達がここに入る事になったのかを言え!」

キーファ
「(え!悪いの俺なの!?)えぇと…たしか、あの日――」





――あの日俺は、突然(しかも強制的に)サントハイム城へ招待された。

キーファ
「…しっかし、でかい城だな。ウチとどっちがでかいんだろ…」

クリフト
「…む、曲者!」

キーファ
「いやいやいやいや!招待したのあんただろ!?」

クリフト
「ええい、何をしておるか!曲者じゃ!であえ!であえ〜!!」


ばらばらばらばら…


サントハイム兵士Aが現れた!
サントハイム兵士Bが現れた!
サントハイム兵士Cが現れた!

キーファ
「あっちゃあ…まったく、あの馬鹿神官は…。
 まあ、すぐに誤解は解けるだろうから、適当に戦ってやり過ごす……」

サントハイム兵士Dが現れた!
サントハイム兵士Eが現れた!
サントハイム兵士Fが現れた!

キーファ
「…おい?」

サントハイム兵士Gが現れた!
サントハイム兵士Hが現れた!
サントハイム兵士Iが現れた!

キーファ
「え、おい、ちょ、待てってw」

クリフト
「キーファさん、錯乱してますね〜」

騒ぎの元凶が他人事のように言うなや。


サントハイム兵士Jが現れた!
サントハイム兵士Kが現れた!
サントハイム兵士Lが現れた!
サントハイム兵士Mが現れた!
サントハイム兵士Nが現れた!
サントハイム兵士Oが…(以下略)

キーファ
「おいこら!?多すぎだろがっ!!
 大体、こんなにモンスターが出て画面に表示されるか!!
 フリーズするぞ!しかも冒険の書は全滅だ!!」

キーファさん、プレイヤー視点でぶっちゃけないで下さい。

クリフト
「テレビが大画面なんですよ」

こら答えるな、そこ。しかもテレビが大画面になってもゲーム画面が拡大して表示されるだけだ。

キーファ
「いやいや、落ち着け俺。
 所詮は三流の二次創作だ。これくらいの理不尽は認めろ。大人だろ。
 …ふう。それより、ここまで多いと流石にきついかもな…。
 よし、ここは…」

キーファはアストロンを唱えた!

クリフト
「何!?キーファさんの体が…!!」

兵士B
「黄金の焔に包まれてゆく…!」

キーファ(覚醒)
「――宣告したはずだ。本気で行く、とな。
 先に言っておくが、こうなったからには手加減は…って何言わせるんだ!
 体が鋼鉄になるだけだよ!しかもなんだ!?(覚醒)ってのは!」

クリフト
「覚醒と書いてトランスと読むんですよ。
 手元の辞書によると、トランスとは薬物によって精神がハイになる状態のこ とを言うようです。つまり、キーファさん。あなたは麻薬を――」

ばかっ!!

剣の鞘がクリフトの頭に命中します。
修練も兼ねて鋼鉄製にしているので何気に痛いです。

キーファ
「…覚えておけよ。この恨み、必ず晴らすからな」

クリフト
「――ほう、どうやって?」

キーファ
「アリーナ姫にこの前一緒に旅した時にどんなことをやったかを逐一報告」

クリフト
「ごめんなさいもうしませんごめんなさいゆるしてください姫様誤解です止め てくださいああああああああああああああああああああああ!!!」

突然、壊れたように叫びだすクリフトを尻目に、キーファは兵士達を見やる。

キーファ
「お待たせしました…では、改めてアストロン!」

キーファは鋼鉄になった!

キーファ
「(さあ、これでまずは戦力を疲弊)」

サントハイム兵士Aは爆裂拳を放った!
サントハイム兵士Bはイオナズンを唱えた!
サントハイム兵士Cは輝く息をを吐き出した!

キーファ
「(……ああそうか。こんな神官がいる国だもんな。
  下級兵士だってこれくらい強くなくちゃやってけないよな)」

すっかり諦観しているキーファを尻目に、サントハイム兵士の猛攻は続く。
当然、アストロンの効果で攻撃は無効化されてはいるが、解けたらまず間違いなくこの攻撃を一身に喰らうことになるだろう。

キーファ
「(ああ、俺の人生もこれで終わりか…。
  まだ見ぬわしの愛しいしと……じゃなくて俺の愛しき人よ。
  恨むのならこの馬鹿どもを…)」

ブライ
「いまじゃっ!旅の扉を起動させよ!!」

兵士一同
「はっ!!」

キーファ
「…へ?」

クリフト(傷心)
「もう許してくださいお願いですああ、そんな御無体なぎゃあああああああ」



ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!





……とまあ、飛ばし飛ばしの状況説明を更に要約すれば、クリフトの悪戯に乗じて行われたブライの策略によって、ここに叩き込まれたということである。
ちなみに、部外者であるキーファを巻き込んだのに、迎えが来る気配はない。
どうやら国際どころか次元間の問題よりも、被害を重く見た国側はクリフトの抹殺もとい封印を優先したらしい。

キーファ
「…そして俺はこのクソ神官が傷心している隙にタコ殴りにした後、こいつを 天上から城を脱出する時のために用意したロープで吊り下げてやったんだ。
 俺が疲れと睡魔で失神するまでな。それを数度繰り返した」

クリフト
「そうですか…だから私は、こんなことに……。
 ……あなたは、なんてことをっ…!!」

キーファ
「それは俺の台詞だああああああああああああああっ!!」

地下牢に涙声なキーファの絶叫が響き渡る。
当然、それを聞くものは誰一人としていない。なんとも空しい限りである。

キーファ
「…って、んなこと叫んでも何の意味もねえな。
 それより、さっさとここを脱出して…」

クリフト
「無理ですよキーファさん。
 この牢獄から城に行くまでの長さがどれくらいかはご存知でしょう?」

DQ及びFF全シリーズの全ダンジョンの総面積より大きいな。
ただし、割り当ては主に上下に。

キーファ
「ここ地下何階なんだよ!?」

クリフト
「えぇと…地下三階ですね。これなら明日までには帰れるでしょう」

キーファ
「短っ!!……ん?でもそれなら、なんで無理なんだ?」

キーファがそう言うと、クリフトはさも馬鹿にしたような顔を浮かべた。

クリフト
「ふぅ…まったく、これだから下賎な人間は困ります」

キーファ
「俺、王族なんだけど」

クリフト
「精神的に下賎という意味ですよ。そんなことも分からないとは……」

キーファ
「ナレーター。こいつ、殺っちゃっていいよな?」

許可する(どうせすぐ復活するし)

クリフト
「つまりですね、キーファさん。最後の一階が問題なんですよ」

キーファ
「…どういう意味だ?」

クリフト
「んー……それは実際に見てみた方が良いと思います。
 それじゃ、行きましょうか」

そう言うと、クリフトはおもむろに懐から数本の剣を取り出した。

キーファ
「…壊すのか?」

クリフト
「何を馬鹿な。仮にも深淵の異名を持つ牢獄の檻を壊せるわけないでしょう。
 これは、こいつと組み合わせるんです!」 

そう言って、どこからか巨大な箱を取り出す。
箱は開閉することができ、中にはちょうど一人分のスペースがある。
だが、気になるのは――。

キーファ
「ちょっと待てクリフト。なんでこの箱、いくつも穴が開いてるんだ?」

クリフト
「さあキーファさん、中に入って入って」

キーファ
「……ちょうど剣一本が入る大きさだな、この穴」

クリフト
「どき」

キーファ
「…まさかとは思うが、俺を入れた後に箱を串刺し。
 開けたら見事俺は消えているスーパーイリュージョン、とか?」

クリフト
「ゴージャス!!」

キーファ
「…で?もう一つの箱はどこにあるんだ?」

クリフト
「最下層、三億四千七百四十九万三千五百十二階です」

キーファ
「死ね。第一、お前が旅の扉を形成すればいいじゃねえか。
 長距離は無理でも短距離ならできるだろ?」

クリフト
「……」

キーファ
「おい、まさか今まで思いつかなかったんじゃ」

クリフト
「――空間接続。時空門を形成。座標設定……完了。問題なし」

図星みたい。

キーファ
「だな。が、まあ。これで抜け出せる」


クリフト
「時空門を設定。座標設定……完了。問題なし。
 門の接続を開始……完了。問題なし。時空門、同時開放」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ……!

キーファ
「おぉ……なんだかコンピューターっぽかったが、本当に形成された!」

クリフト
「できるだけ飛距離を伸ばしましたので
 これなら地下一階まで一気に行けると思います」

キーファ
「やったぜクリフト!それじゃ、お先に!!」

クリフト
「え?あのちょっとキーファさ……」


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!





キーファ
「うん?何だクリフト……っておい、旅の扉、なくなってら。
 やっぱり、ここじゃあ一人だけしか行けないのか。
 ま、すぐに来るだろ。待ってよ」

10分経過…

キーファ
「……」

1時間経過…

キーファ
「…遅いな」

そして、あれから30年が過ぎ去った…

キーファ
「まったく…いつまで待たせるんだよ、あいつ。
 ……っておい!年月跳びすぎだろ!! 
 まだ3時間だよ3時間……って、それでも十分に遅いわっ!
 あいつは何しているんだっ!どうして来ないんだ!?」

キーファ。

キーファ
「うん?ナレーターか。何だ?」

お前が旅の扉で移動する時、クリフトはどんな姿だった?

キーファ
「…全く変わらなかったぞ」

『変わらなかった』っていうのは、牢獄に入る前の時と変わらないって意味?
それとも、牢獄に入って逆さ吊りにした直後から変わってないって意味?

キーファ
「――――ま、まさか…」

…クリフト、逆さ吊りのままだったぞ。刃物も持ってなかったみたいだし。
そもそもあの檻の中で攻撃魔法は使えないし。
あれ滅茶苦茶頑丈だから、流石のクリフトでも素手じゃ切れないし。
旅の扉に入るには、地面と接触しなきゃならないのに。

キーファ
「……」

つまり、今もクリフトは地下牢で逆さ吊りのまま一人孤独に…

キーファ
「それを早く言えっ!!」

言うと、キーファは全速力で駆け出して行った。
――ただし、地下牢とは逆の方向。即ち出口の方向へ。
…って、助けないのか?

キーファ
「助けて誰かが喜ぶのか!?」

いいや(きっぱり)
むしろ「なんで助けたんだ!」って文句を言われるだろうね。

キーファ
「そう、だからあいつが何らかの手段を講じてあそこを脱出する前に
 ここから脱出し、永久に封印を――――」

走り出した向こう。
そこにあるのは巨大な扉と、それを塞ぐ山のように巨大な岩。
そして、その横には文字が彫られている。
――『三人で同時に攻撃をして、この岩を砕いてください』と。

キーファ
「――」

さすがにショックだったのか、がっくりと項垂れるキーファ。
仮にクリフトを連れて戻ったとしても、それでは二人。
砕くには一人足りない。

キーファ
「…ここで、終わりか」

クリフト
「諦めるのは――」

キーファ
「え?」

振り返る。

クリフト
「諦めるのは、まだ早い!!」

ボロボロに傷ついたクリフトが――そこに、いた。

キーファ
「…いや、なんで逆さ吊りのままなんだ?」

クリフト
「外せなかったからです!」

キーファ
「俺は逆さ吊りのままでどうやってここまで来たかを聞いたんだが」

クリフト
「移動の原理はミノーンと同じです!檻は……」

キーファ
「檻は?」

クリフト
「愛の力で突破しました!!」

キーファ
「よし!それじゃクリフト、そこにある岩を愛の力で粉々にしてくれ!!」

クリフト
「OK!下がっていてください!!」


キーファが下がると同時に、クリフトは目を瞑った。
クリフトの脳裏には、敬愛する主人、アリーナ姫の姿が浮かんでいた。
――幼い頃の運命的な出会い――
――小指で誓った、拙く儚い約束――
――覚悟はしていたけれど、あまりにも悲しかった別れ――
――城の廊下でぶつかった、運命的な再会――
――従者と姫の許されない恋を妨害する家臣――
――許婚の登場――
――初めてのデート、そして初めてのキス――
――現れた魔王、交戦するも力及ばず、その時姫は――
――クリフト、私もう駄目――
――しっかりしてください、姫様――
――ごめんクリフト、あなただけでも「早くしやがれ妄想神官っ!!!」

クリフト
「はいはい分かりましたよ。では、必殺ラブ☆パァァァァンチ!!!」

振りかぶった拳に、全てのエネルギーを集中させる。
光速を遥かに越えた速度で放たれた拳の一撃は、あらゆる全てを浄化――

キーファ
「って、結局力づくだったのかよ!!」

べき

クリフト
「……っっっ!!!(苦悶の表情)」

キーファ
「しかも弱っ!!」

クリフト
「っっっ……どういう理由かは知りませんがやはりこれは、三人同時で攻撃し ない限りは絶対に破れないように創られているみたいですね」

キーファ
「…ホントかよ」

クリフト
「なら、キーファさんやってみてくださいよ!むしろやれ!!」

キーファ
「いんや。その対応は本当っぽいから止めとく(きっぱり)
 それより、三人って…他に誰かいたか?」

クリフト
「いえ、この迷宮は魔物一匹出てきませんから。
 加えて、今まで閉じ込められたのは私達くらいのものです。
 ……今思えば、出られないのを知っていたからこそブライ氏はわざわざ私達 を地下3階の牢獄に…」

キーファ
「…クソ、あいつ…どこまでも人を小馬鹿にしやがって!!」

いや、クリフトはともかくお前を馬鹿にするつもりはなかったようだが。

クリフト
「いずれにせよ、私達も…」

キーファ
「これで終わりなのか…」



「諦めちゃ、駄目!!」



キーファ
「こ、この声は…アリーナ姫!?」

クリフト
「諦めちゃ駄目よ、クリフト。しっかりしなさい!
 あなたには、私がついてぐぼがばげほ」

キーファ
「ふ ざ け る な」

某魔王も真っ青な迫力のボイスと共に、クリフトの腹を踏みつける。
と、その時

「諦めちゃ駄目!」

キーファ
「アリーナ姫!?」

「電話を取ることができないなんて…誰が決めたの!?」

キーファ
「…は?電話?」

「まだ、間に合う!だから早く…!!」

クリフト
「あ、これ、私のケータイの着ボイスなんですよ。
 いやー。どうです、これ?可愛いで「メラゾーマ」あちちちちちちち!!」

そのまま連続で数発のメラゾーマを顔面に打ち込むキーファ王子。

キーファ
「……って、ここ、電波通じるのか?」

クリフト
「ええ、みたいですね」

キーファ
「だったらそれで助けを…!」

クリフトはにっこり笑顔で、焼け爛れたケータイを突きつける。

キーファ
「……」

クリフト
「…まあ、過ぎたことは良しとしておきましょう。
 元はといえば私の責任でもありますし」

キーファ
「クリフト…」

クリフト
「それにどの道、料金払ってないから電話できませんでしたし」

キーファ
「えぇ!?じゃ、じゃあ今の電話は何処から!?」

クリフト
「…実はこの電話、道に落ちてたんですけど。
 丁度その時、近くで自動車事故があったそうなんですよね〜」

キーファ
「……もし生きて帰れたら、ちゃんとお払いしておけよ」

クリフト
「生きて出られたら、ですけどね…」

「諦めちゃ駄目!」

キーファ
「…今度は何だ?」

クリフト
「いえ、この声は…」

岩の向こうから、確かに声が響いている――!

アリーナ
「しっかりしなさい、クリフト!
 今、そっから出してあげるから!!」

クリフト
「ひ、姫!!何故ここに!?」

キーファ
「え!?嘘、本物!?」

アリーナ
「今、壊すからちょっと待ってて…」

キーファ
「いえ、この岩は三人同時に攻撃しないと壊せないんです!
 タイミングをとって内と外から同時に攻撃をしましょう!!」

クリフト
「そのとおりです、姫様!私達の愛の力で粉砕しましょう!!」

アリーナ
「え……………………わ、わかった!頑張ってね!!」

キーファ
「(今の間は!?)」

クリフト
「それじゃあ行きますよ!1…」

キーファ
「2の…」

アリーナ
「さぁーん!!」

ぼこ

キーファ
「……うわぁ。すっげえ情けない音」

クリフト
「あ、でも。無事に壊れましたよ。ありがとうございます!姫様!
 これも私と姫様の……」

しかしアリーナは一歩退きながら。

アリーナ
「クリフト…神官は女性と恋愛するのを禁じられているって聞くけど…」

クリフト
「ええそうです、ですが…」

アリーナ
「まさか…まさかあなたと、そこの彼が愛し合っていたなんて!!」

キーファ
「本気DEATHか!?」

クリフト
「いえいえそんな姫様!!
 私は姫様一筋ですし、第一、私が仮に同性愛後者だとしてもこんな冴えない ツッコミしかとりえのない役立たずで世間知らずな大馬鹿王子もどきを愛す るなんて、宇宙がひっくり返ることより在り得ないことです!」

キーファ
「確かにそのとおりだがなんかムカツクなこのヤロウ」

アリーナ
「それにクリフト…まさか…」

キーファ
「まだ何かあるのか…?」

アリーナ
「まさかあなたが、Mだったなんて!!」

キーファ
「このロープかっ!!」

クリフト
「う……」

キーファ
「否定しろよ!?」

アリーナ
「Sだって…Sだって信じてたのにぃぃぃぃぃ!!」

クリフト
「違います、姫様!私はたしかにMですが、Sでもある…ひ、姫様ぁぁぁ!」

キーファ
「……あー、もう。どこから突っ込んで良いやら。
 …で、クリフトは……」

クリフト
「――真っ白に…燃え尽きちまったよ…」

見ての通り、向こうでホワイトアウトをしていた。

キーファ
「え、えぇと……それじゃ、とりあえず」





END








「吊られた男」

大アルカナの十二。
正位置では犠牲,忍耐,障害,救済,良い結果を暗示。
逆位置では無駄,失敗,疲労,片思い,遠い恋愛を暗示。